11月5~7日に、パシフィコ横浜(神奈川県)で、第26回図書館総合展(会場パート)が開催され、3日間で、約1万3千人が来場した。
図書館業務に関する企業、出版社、図書館関係の団体が72ブース、アカデミックブース15件、大学、研究会など58団体が活動紹介などがポスター展示した。
11月16日~11月24日には、オンライン第2期が開催される。
越境・Openのための逗留地
図書館総合展の会場で行われた「越境・Openのための逗留地」は、博物館をはじめとする様々な文化施設や地域社会への越境や、2024年の状況にあわせたデータのOpen化を論じられる場。
大向一輝さん(東京大学)、呉屋美奈子さん(恩納村文化情報センター)、佐久間大輔さん(大阪市立自然史博物館)、佐々木秀彦さん(アーツカウンシル東京)、花田一郎さん(大日本印刷株式会社)、福島幸宏さん(慶應義塾大学)をメンバーとする次世代型文化施設フォーラムとOpenGLAM JAPANによるブースだ。
ブース内には畳のスペースもあり、なごやかな雰囲気の中で、さまざまなトークライブが開催された。
三田図書館の取り組み
図書館が地域連携のハブになる
「越境・Openのための逗留地」ブースでは、6日に港区立三田図書館の門康治館長による「図書館が地域連携のハブ?三田図書館の取り組み紹介」のトークライブが行われた。
東京都港区の三田図書館は、2022年4月に港区中央館としてリニューアルオープン。田町駅、三田駅から徒歩4分の札の辻スクエアビルの4~6階にある。
オープン後、順調に入館者が増え、2023年の12月はじめには来館者100万人を突破したそうだ。
商店会の人の言葉がきっかけに
三田図書館は(株)図書館流通センターが指定管理者として運営を任されており、リニューアルオープン時に、門館長が新宿区立角筈図書館から異動してきた。
そして、門館長は縁あって三田の地元商店会の役員と会う機会を得た。その時に言われた言葉が地域連携へのきっかけとなったそうだ。
「以前から商店会として図書館に色々アプローチをしているが、全く相手にして頂けなかった」
さらに地元の企業、学校関係、施設団体等の担当者に話を聞くと、地域連携したいが、その様な会合がないとの意見が多かったという。そこで門館長は情報交換会を提案。2022年に三田・田町情報交換会を立ち上げた。最初は8団体だった。
多種多様な35団体が集まる
その後、定期的に情報交換会を実施。すると着々と参加者が集まり、今では35団体が参加している。
集まってきた団体は、駅ビル、学校、病院、ホテル、建設関係、雑誌関係、商店会、交響楽団、航空関係、観光関係、歴史関連施設、NPO団体、港区でJリーグを目指すサッカーチーム、社会福祉協議会、区のスポーツ振興課と障害者福祉課、映像関係、IT関係、アパレル・サプリ関係、環境関係、ゲーム関係、図書館と多岐にわたる。
団体の担当者に聞くと、「とにかく地域の方々と連携がしたい」「地域の皆さんにメンバー自身(仕事・活動)を知って欲しい!」「メンバー同士いつでも声が掛けられる。(Win-Win の関係作り)」などの声が聞かれたという。
さまざまな連携イベントを開催
田町・三田情報交換会が、この2年間で行なった主な活動は次のとおり。
・商店会の依頼で地元のお祭りに神輿の担ぎ手として参加
・IT関連の企業が、近隣大学や高校で講座を開催
・区のスポーツ振興課から依頼で中学生の職場体験を受け入れる
・区主催の地域清掃活動に参加
・三田図書館連携講座「南極越冬隊に参加した職員による講演会」「ミドリムシ自由研究」「航空会社の子供向けプログラミング講座」「雑誌社によるコンポスト講座」
2024年11月には、港区中高校生対象の三田企画部をスタート。地元企業と連携して探求学習のイベントを開催している。
田町・三田情報交換会でイベントを開催予定
未来へ向けて
さらに2025年の3月には、田町・三田情報交換会によるイベントも開催予定となっている。
最後に門館長は「単なる地域連携だけで終わらせない、先に繋がっていく動きを今後も進められればいいかなと思っています」と語っていた。
港区立三田図書館HP
(取材・まとめ いとう啓子)
Comments